砂糖の種類 ~ 三温糖 ~
三温糖とは
日本でグラニュ糖と上白糖の次に多く生産されているのが三温糖です。
三温糖は褐色を帯び、結晶の大きさが0.1~0.2mmと細かく、上白糖に似たしっとりした感触の砂糖です。グラニュ糖や上白糖と比べて還元糖などの共存物質が多いため味が濃厚で独特の風味があり、家庭では煮物などの調理に、食品工場では煮物や佃煮の製造に使用されていています。
また、三温糖は黒砂糖と同じ含蜜糖に間違えられることが多いですが、コラム「砂糖の種類」でも紹介した通り、分蜜糖に分類されます。
名前の由来
三温糖の名称の由来は、明治初期に台湾から輸入していた精製糖「五温車糖」「四温車糖」「三温車糖」が由来と言われています。これらは総称して“温糖”とも呼ばれており、“温”は糖液を煮詰めて結晶化させる煎糖(せんとう)を意味していたため、五回煎糖したものを五温、四回煎糖したものを四温、三回煎糖したものを三温と呼んでいました。そして五温車糖が双目(ざらめ)糖、四温車糖が上白糖、三温車糖が着色した砂糖を指していたいたことから、着色した砂糖に対し“三温”の呼び名が残りました。
どのように作られる?
製糖工場では精製した糖液を煎糖し、得られた砂糖結晶と糖液の混合物を結晶と蜜に分けて回収し、結晶は製品砂糖になります。一方で蜜にはまだ十分な砂糖分が残っていますので、煎糖と分離を繰り返し、蜜から砂糖を回収していきます。1回目、2回目の煎糖といった早い段階で得られた砂糖は純度が高くグラニュ糖や上白糖となり、繰り返し砂糖を回収し還元糖や他の不純物が濃縮して純度が低くなった蜜から作られる砂糖が三温糖になります。このため三温糖は独特の風味を持つようになります。また、煎糖による加熱を繰り返すうちに糖がカラメル化し蜜が着色することから、褐色を帯びた砂糖となります。カラメル化は香気成分の生成にも関連しており、この香気成分も独特の風味を生み出すことに寄与しています。
着色した精製糖としては三温糖の他に中双糖もあり、これも煎糖と分離を繰り返した蜜を材料に作られますが、比較的純度が高く、結晶の大きさが2~3mmと大粒でサラサラしているため、三温糖とは異なる砂糖となります。
現在、市販されている三温糖や中双糖は、製品として均一な色味になるようにカラメル色素や色の濃い蜜を表面にかけ色味を調整しているものがあります。