なぜ、イーストでパンが膨らむの?

 パン作りに用いられるイースト(yeast:英語)は、日本語では酵母と呼ばれます。酵母とは、その名のとおり、「発酵の母」となる微生物のことです。数ある酵母のうち、パン作りに適した種類の酵母のことを、パン酵母と呼んでいます

 

炭酸ガス

 イースト(パン酵母)は、パン生地に含まれる糖を分解して、アルコールと炭酸ガスを生成します。このとき発生した炭酸ガスの作用で、パン生地が膨らむわけです。

グルテン

 しかし、炭酸ガスが、パン生地から抜けてしまうと、パンは膨らみません。炭酸ガスを逃がさないためには、小麦粉に含まれるグルテンというタンパク質の存在が重要となります。グルテンは、グルタミン酸を多く含み、ねばりけに富み、炭酸ガスを逃がしません。澱粉(デンプン)を使ってパンが出来ないのは、澱粉にはグルテンが含まれていないからです。

香り成分

 酵母の役割として重要なものに、香り成分の生成があります。 香り成分には、有機酸や高級アルコール類があり、これらが絶妙の割合で生成するため、美味しいパンの香りが生成します。

きめだち

 単純に炭酸ガスを出すだけなら、ベーキングパウダー(膨らし粉)でも、パンを膨らませることは可能です。しかし、食パンのクラム(内相)に見られるような、無数の気泡ときめだちは、イーストこそがなせる技です。また、ベーキングパウダーでは、香り成分も無いため、パンとはほど遠いものになってしまいます。