ビートとヒユ科の仲間たち

ビートが属するヒユ科の「ヒユ」って、どんな植物なのですか?

 「ヒユ」というのは漢字では「莧」と書きます。ヒユはもともと若い茎や葉を野菜として利用する植物ですが、最近は殆ど目にすることはなくなりました。ただし、ヒユのうち葉が赤や黄色にきれいに着色するものは「ハゲイトウ」として観賞用に栽培されており、秋の花壇を飾っています。このほか、畑地や道路端のありふれた雑草の「イヌビユ」や「アオゲイトウ」もヒユ科の一員です。


ヒユとビート、見た目は全然違いますが、ヒユ科には他にどんな作物がありますか?

 ビートは従来「アカザ科」に分類されていましたが、新しい分類体系ではそれまでの「ヒユ科」と併合し、新たに「ヒユ科」として分類されています。新しい「ヒユ科」は世界におよそ2,200種ほどがありますが、このうち「ビート」がかつて所属していた旧「アカザ科」はおよそ100属1,400種ほどがあり、特に乾燥地に種類が多く、また高塩分に対する耐性が高い種が多くあります。旧「アカザ科」の仲間には、「ホウレンソウ」、「ホウキギ」、「オカヒジキ」、「アッケシソウ」(別名サンゴ草)などがあります。「ホウキギ」はその名の通り箒に利用されていますが、その実は「とんぶり」の名で食用とされ、見た目が似ていることから畑のキャビアという愛称があります(味も似ているかのコメントは差し控えさせていただきます)。旧「ヒユ科」はおよそ70属800種ほどがあり、「ハゲイトウ」の他にも観賞植物として「ケイトウ」や「センニチコウ」が広く栽培されてあります。


ほうれん草以外は、あまり似たところが無いようですが、 ヒユ科の植物でお砂糖を蓄えている植物はビートの他に有りますか?

 砂糖はショ糖(「スクロース」)から出来ていますが、ショ糖は植物に広く含まれていて、ヒユ科の植物にも含まれています。しかし、蓄えている量は僅かでしょう。


では、ビートやサトウキビの他に砂糖が採れる植物はありますか?

 椰子(やし)からとった椰子糖や、サトウカエデからとったメープルシュガーが比較的有名です。このほか、モロコシからも砂糖が作れます。これらの植物からとった砂糖は、精製した砂糖にするよりも、液体状(シロップ)のまま利用することが多いようです。