環境

 当社の業務は自然環境と密接に関わり合っております。近年の気候変動による温暖化や異常気象等が、てん菜糖事業に与える影響は計り知れません。当社はCO₂排出削減、水資源の効率的な利用、産業廃棄物の再資源化、環境にやさしい農業資材の開発に取り組んでおります。

環境にやさしい製品輸送

 砂糖部門における製品の消費地向け輸送の約90%は、トラック輸送よりもCO₂の排出量が少ないJR輸送及び海上輸送となっており、より環境への負荷が少ない作業・運用を目指しております。中でも、陸上輸送においては2008年より、「スズラン印グラニュ糖」「スズラン印上白糖」でエコレールマーク※を取得しており、今後も環境に優しい製品輸送を継続していく方針です。

※環境負荷の少ない鉄道貨物輸送に積極的に取り組んでいる企業や商品であると認定された場合に付与される環境ラベル

産業廃棄物の削減

 砂糖の製造工程から生じるライムケーキは、石灰が主成分でアルカリ分を多く含むため土壌改良材として畑地散布しております。また、ボイラーの燃焼によって生じる石炭灰をセメント原料及び路盤改良剤に使用しております。その他にも、砂糖製品の空袋から発生するクラフト紙は古紙として再利用されております。このように、当社は産業廃棄物の発生を極力抑えるべく努力を続けております。

製糖所でのCO₂排出抑制対策

 北海道内の製糖所は、CO₂排出を抑制するため様々な工夫をしながら稼働しております。
  燃料使用量を削減するために、工場排水の処理の際に発生するメタンガスを燃料として再利用する設備を導入しており、工場で使用する化石燃料を削減し、年間約10,000tのCO₂排出量を削減しております。
 また、砂糖抽出後の繊維分を乾燥して飼料(ビートパルプ)を製造しておりますが、乾燥工程で発生する水蒸気を回収再利用することで、化石燃料使用量を削減しており、年間約30,000tonのCO₂排出量削減効果が有ります。
 今後も環境にやさしい工場を目指してまいります。

取水量・放流水量削減

 芽室製糖所において、製造工程で使用される冷却水を循環し、再利用する設備を導入いたしました。これにより、水の使用効率向上を検証し、河川からの取水量および河川への放流水量の削減を目指します。

ペーパーレス化

 社内で消費する紙類を削減し、ペーパーレス化を推進しております。新しいシステムの導入による回覧書類や配布書類の電子化、スキャナーを活用した書類のデータ化、ミスプリント紙の再利用等の取り組みにより、環境保護はもちろん、業務効率の向上や、多様な働き方への対応を目指しております。

実質的に再生可能エネルギー電源由来の電力を使用

 事務部門をターゲットとしたCO₂排出量削減を目的として、北海道帯広市の事業所(総合研究所、飼料事業部、ビート資料館)と北海道芽室町のビジネスセンターにおいて、北海道電力が提供する「カーボンFプラン」の電力契約を締結いたしました。「カーボンFプラン」はCO₂排出ゼロの付加価値を条件として北海道電力が提供しているものであり、非化石証書(再エネ指定)を活用し「実質再エネ」、「実質CO₂排出量ゼロ」の電力を使用することにより2事業所あわせて年間約600トンのCO₂排出量が削減されます。

太陽光発電設備を導入

 再生可能エネルギーの導入として、2022年度に総合研究所、清水事業所(バイオ工場)、子会社の十勝鉄道(株)芽室倉庫に太陽光発電設備を導入しました。
 ●総合研究所
 パネル枚数 272枚、パネル総面積650㎡、発電出力105kW、年間発電量(計画値)190,000kWh
 電力削減率30% CO₂削減量 105t-CO₂/年
 ●清水事業所
 パネル枚数 1,520枚、パネル総面積3,663㎡、発電出力499kW、年間発電量(計画値)847,000kWh
 電力削減率14% CO₂削減量 466t-CO₂/年
 ●十勝鉄道(株)芽室倉庫
 パネル枚数 252枚、パネル総面積424㎡、発電出力49.9kW、年間発電量(計画値)82,680kWh
 電力削減率35% CO₂削減量 45t-CO₂/年

今後も、再生可能エネルギーの導入検討を行い、温室効果ガス排出量削減に努めてまいります。

環境にやさしい農業資材

 一般的な農業用育苗資材としては、プラスチックトレイやポリ鉢などのビニール製の資材が使用されていますが、当社では紙を主原料としたペーパーポット®を70年来製造・販売してきました。ペーパーポット®を利用したてん菜の栽培技術はてん菜の収量増や機械化に大きく寄与しましたが、近年は連続式のペーパーポット®(チェーンポット®)と簡易式移植機(ひっぱりくん®)を利用した白ネギの栽培方法が、動力を使わず効率的に移植作業が可能になると国内外から大きな注目を集め、急速に普及しています。
 また、廃プラスチック削減・海洋汚染防止等の環境問題が大きく注目を浴びていますが、当社では、さらなるエコ素材として天然麻繊維を使用したチェーンポット®を開発しました。本製品については、有機農法・有機栽培に対応できると考えており、米国での有機認証の取得を目指し取り組んでおります。
 なお、米国農務省による*National List of Allowed and Prohibited Substances の近時の改定に伴い、有機農法による作物栽培に、紙を主要な素材とする作物栽培用育苗容器の使用を認める条項が追加されました。当社チェーンポットⓇは、追加されたこの条項の基準を満たしており、公式に、有機栽培で使用できるようになっています。

森林資源保護 

 2013年より株式会社 長倉樹苗園、宮崎大学と共同にてペーパーポット®を使ったスギ苗移植法の開発・普及を行っております。ペーパーポット®を使用した苗生産は、従来の苗生産に比べ栽培期間の短縮や、低コストを実現できるなど多くの利点があります。山での作業の軽減化だけでなく、森林資源の保護・育成により、CO₂削減にも貢献できると考えております。