パーパスプロジェクト座談会

一人ひとりの想いをつなぐ「パーパス」を

プロジェクト概要

Introduction

存在意義と目指す姿

日本甜菜製糖は、2023年9月、ニッテングループの存在意義と目指す姿を定義する「パーパス」を新たに決定しました。
当社には、創立50周年に制定された「開拓者精神を貫き社会に貢献しよう」の社是があり、長くニッテングループで親しまれてきました。その価値は今も変わらない一方で「VUCA(ブーカ)の時代」と呼ばれるように、環境の変化が激しい現代では、今働いている従業員が共感できる、時代に適した指標が必要と考え、パーパスを策定するプロジェクトを発足しました。
プロジェクトパーパスではパーパスを「会社の強み」と「社会からのニーズ」の共通部分であると捉え、それを導き出すためには従業員全員の意見が必要であると考えました。アンケートやグループワークを通して従業員の想いを聞き取り、一人ひとりが共感できる言葉にまとめる役割を担ったプロジェクトパーパスのメンバーに、プロジェクトの過程や大切にしたことを語ってもらいました。

日甜グループパーパス

畑から、食卓へ。
てん菜から広がる可能性を見いだし、
人と環境にやさしいものづくりで、
北海道、そして日本の未来に貢献します。

プロジェクトメンバー

Project Member

【プロジェクト立ち上げ】

パーパスの必要性を理解し、伝えるところからスタート

司会:
はじめにプロジェクト立ち上げ時のお話や、どのように方針を決めていったのか教えてください。
S・Iさん:
パーパスを策定するプロジェクトは、社長から任命いただき2022年10月に発足しました。もともと「会社が一つの方向を向けるといいな」という想いがあったため、その土台となるパーパス作りに携われることにワクワクしました。初めてのことで不安もありましたが、ぜひ挑戦したいと思いました。
T・Oさん:
プロジェクト発足当時は、私たちも「パーパスって何?」という状態でしたね。そのため、まずはパーパスの解説本を読んだり、他社のパーパスを調べたりなど、勉強するところから始めました。
そこから、全従業員に「自分もパーパス策定に参加している」という意識を持ってもらうことが大切だと考え、全従業員へのアンケート、少人数で意見を出し合う小グループワーク、各グループの代表者で議論を深める代表者グループワークを行うなどの方針を決めていきました。
パーパスプロジェクト座談会
S・Kさん:
当社の背景を少し説明すると、ニッテンには600名以上の従業員がおり、その8割以上が北海道で勤務しています。お砂糖、食品、農業資材、不動産など幅広い事業を展開しているため、従業員の働き方もさまざまです。 全員が一体感を持つことがなかなか難しい環境ではありますが、パーパスを策定する過程には全員が参加していなければ意味がないと考えました。大人数の心を動かし、意見をまとめていくのは簡単ではありませんが「誰も置いていかない」という姿勢を大切にしました。
M・Mさん:
グループワークを実施する前には、従業員の皆さんにもパーパスの必要性を知ってもらうため、説明会を実施することにしました。 初めは「パーパス」という言葉自体がまったく知られておらず、どのように説明したら協力を得られるか、プロジェクトメンバーの中でたくさん考えましたね。
社長をはじめ役員の方の協力をいただきながら発信することから始まり、説明会ではさまざまな経験を持つ皆さんの意見をいただけるよう、「パーパスの策定には一人一人の話が最も大切であること」を強調しました。
S・Tさん:
代表者グループワークでは、プロジェクトメンバーが各事業所を訪れ、従業員の皆さんと直接お話をさせていただいたのですが、グループワークの前に、皆さんの意見をまとめて円滑に進行するため、ファシリテーションの研修を受けました。各事業所でグループワークを行いながら、その都度メンバーで話し合い、時間配分やワークの内容について試行錯誤をしていました。
パーパスプロジェクト座談会

【大切にしたこと】

従業員全員に自分ごととして参加してもらうことを大切に

司会:
パーパスを考える過程で、大切にしていたことは何ですか?
S・Iさん:
このプロジェクトでもっとも大切にしたのは、パーパスの策定が他人ごとでなく、自分も関係していること、自分も参加しているんだという意識を皆さんに持ってもらうことです。
そのためにも、会社で働く皆さんの意見がパーパスの材料として重要であるということをしっかりと伝え、アンケートやグループワークを通して、教えてもらうという姿勢を大切にしました。
また、本プロジェクトで私はリーダーの役割を任され、始めは「自分が一番がんばらなきゃ」という気負いがありました。けれども進めていくうちに、皆に役割分担をして進めていくことがプロジェクトとしては大切なのだということに気が付きました。それからは、任せることを大切にしながらプロジェクトの活動を行うことで、スムーズに、そして皆でパーパス策定まで辿り着くことができました。
T・Oさん:
そうですね。私もグループワークを実施する前は「意見を言ってくれるだろうか」「話は盛り上がるだろうか」と不安でしたが、実際に集まってみると色々な話が飛び出してきて、「皆さん、言いたいことがある」のだと感じました。
北海道で働く従業員の方々が、地域との交流・貢献に対し、とても誇りを持っていることにも気付けました。
パーパスプロジェクト座談会
M・Mさん:
私は、全体の意見を吸い上げるため「どうしたら話しやすくなるか、意見を出しやすくなるか」を常に考えていました。 代表者グループワークでも個人の経験や身近な人の言葉など、何気ない生活の中でもニッテングループの「強み」「ニーズ」を感じた場面を引き出すよう努めました。 ワーク中はチョコレートをつまみながら、雑談の延長のような感じで参加者がリラックスできるよう、また「意見を否定しない」というルールを採用し、フランクに話ができる雰囲気作りにも配慮しました。 夜勤交代でどうしてもワークに参加できない方については、付箋ワークで意見を集めるなど、少しずつでも良いから、全員から意見を出して貰えるよう努めました。
S・Kさん:
私はふだん人事の仕事をしていることもあり、さまざまな立場の人にいかにわかりやすく伝えるかが大切だと考えていました。 新卒で入社して間もない人、入社してから40年を越えるベテランの人、他社から当社に中途入社し独自の視点で当社を見られる人など、さまざまな立場の人がいる中で、表現による受け取り方の違いなどについてプロジェクト内で意見を交わし吟味したうえで一つ一つのプロセスを実行しました。
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S・Tさん:
私は、従業員の皆さんが「自分の想いや意見がパーパスを策定するメンバーまできちんと届いている」と実感できるようにすることに気を配りました。例えば、アンケートでいただいた回答やプロジェクトの経過をまとめて掲示板で発信・共有するなどです。
実際にグループワークに参加するなかで印象的だったのは、自分の会社に誇りを持っている方が多いことです。それぞれ担当する分野は違っても、技術や品質に自信があるからこそ、当社の製品をもっとたくさんの人に知ってもらいたいという意見が多くありました。
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【活動を通して得た気付き】

一人では気付けない会社の強みを発見・共有

司会:
活動してみて、新たな気付きはありましたか?
S・Iさん:
実際にグループワークを行い、従業員の皆さんの話を聞く中で、皆さん視点は違いますが、未来を見据えたポジティブな意見が聞けたことがとても印象的でした。議論を深めていくうちに「プロジェクトの活動に賛同できた」「なぜパーパスが必要なのか理解できた」という声もいただけ、じっくり話せば想いは伝わるものだと実感できました。
M・Mさんは、いろいろな事業所の皆さんのお話を聞いてみて、どう感じましたか?
M・Mさん:
訪問した事業所ではそれぞれ異なる製品の製造・商品の販売を担当している方、また製品の原料となるてん菜の生産者と関わりのある方の話を伺う機会もあり、グループワークでは本当に多種多様な視点の意見を伺う事ができました。そこで働く皆さんから聞いた意見や想いの中に、事業所や業種ごとに異なる特徴があること、その様々な意見の中でも「てん菜の可能性への期待」や「ニッテングループの誇り」という点は共通して持っているという事が見えてきました。
また、ある部門で働く人自身は強みだと捉えていないことが、他の部門の人から見ると強みだと思われているといったこともありました。このグループワークを通して、事業や職種を越えて従業員の皆さんの想いを共有できたことにも大きな意味があったと思います。
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【今後のビジョン】

パーパスを社員の想いと目指す姿をつなぐ道しるべに

司会:
新たなパーパスとともに、今後、ニッテングループとしてどのようになると良いと思いますか?
S・Iさん:
会社で働く人は皆、違う個人なのでそれぞれ好きな方向に進んできたこともあったかもしれません。しかし、今回パーパスという「北極星」ができたことで、皆がそれを目指し、会社として同じ方向を向いて進んでいけると良いなと思っています。
そしてニッテンというブランドを強固なものにし、社内、そして地域や消費者の皆様にも共感していただき、応援してくれるファンが増えることが私の理想です。他のどの企業でもなく「ニッテンがいい」と思っていただきたいです。 また、パーパスによって今後、就職活動をする方々に当社についてより深く理解してもらい、入社後にギャップがなく働いてもらえると嬉しいです。
T・Oさん:
企業が存続していくためには利益が必要ですが、利益について突き詰めて考えると「企業が社会にとって何の役に立っているのか」を達成するための手段ではないかと思います。
今回パーパスを策定したことで「社会にとって何の役に立っているのか」を定義できました。次のステップは、この定義を全従業員に浸透させることが必要です。パーパスによって一人一人の従業員の目的が明確になり、結果として利益の向上につなげていければと思います。
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M・Mさん:
まず、ニッテングループで働く従業員一人一人が「社会にどのように貢献していて、自分はどの部分を担っているのか」実感できる仕組みがあると良いと思います。
今回策定したパーパスにもとづき「ニッテングループが貢献していること・これから目指していく方向」をそれぞれが知ることで、従業員一人一人が、自分が日々行う業務に誇りを持てるのではないかと思います。
また、パーパスに沿って新たな発想を出せるような仕組みも生まれると良いと思います。VUCAの時代に対応していくためにも、一部の人が悩むより、たくさんの人が経験を生かし、アイデアを出し合う方が新しい発想も生まれると考えています。
今回のグループワークでも、参加した皆さんの生きた話を聞いて刺激を受けましたし、それを踏まえて自分も思い付いたことを発言してみるという姿勢につながりました。この動きをパーパス策定で終わらせず続けていけば、そこからまた何か生まれるのではないかと、ワクワクしています。
パーパスプロジェクト座談会
S・Kさん:
従業員にとっての刺激になることに加え、採用においても、パーパスが良い影響を与えてくれることに期待しています。
ニッテンはBtoB企業であり、広く世間からは認知されづらい面があると思いますが、パーパスが当社と当社の未来の担い手をつなぐ大きな力になってくれるのではないかと思います。
当社に来てくれた皆さん一人一人が持っている力を十分に発揮し、活躍するための頼れる指標となってほしいと考えています。
S・Tさん:
プロジェクトパーパスの活動を通じて、従業員の一人一人が会社に対してそれぞれの想いや意見を持っていることを改めて実感しました。グループワークを通してお互いの想いを話し合うことで、一人では思いつくことのできなかった考えを知ったり、自分の想いが明確になったり、グループ内全員の共通の考えが生まれたりと互いに良い作用を与えていると思いました。
今回はプロジェクトという名目があってのグループワークでしたが、それ以外でもお互いの想いや意見を話し合うことが当たり前になるような会社になればいいなと思っています。
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