ご挨拶

てん菜産業への飛躍


 大正8(1919)年、国内での砂糖自給体制の確立と北海道の開拓推進を図るため、当社の前身である北海道製糖(株)が創立され、昭和22(1947)年日本甜菜製糖(株)に商号変更となりました。昭和44(1969)年、創立50周年を機に、社是「開拓者精神を貫き 社会に貢献しよう」が制定され、令和元(2019)年に創立100周年を迎えました。

 私たちは会社創立当時から、てん菜糖事業を通じて北海道畑作農業の持続的な発展、北海道地域経済の発展に努めて参りました。また、国産原料を使用した砂糖を安定的に供給することで、国内食料自給率の維持向上に貢献しております。

 今日、北海道農業をめぐる環境は大きく変化しようとしております。長年続く砂糖消費量の減少傾向に端を発して、北海道でのてん菜栽培面積に見直しの動きが出ております。北海道の輪作体系の柱であるてん菜の持続的耕作に向けて、私たちは①砂糖の消費拡大と②てん菜の新規有効活用という2つの解決策を考えております。

 砂糖の消費拡大という点については、農林水産省の「ありが糖運動」や北農中央会の「天下糖一プロジェクト」、砂糖関係8団体の「シュガーチャージ運動」などと協力して参ります。また、日本ビート糖業協会会長会社として「北海道ビート糖フェア」の開催や小学校での食育授業を通じ、砂糖に関わる正しい理解の促進と消費拡大に向けて取り組んできております。また、「北海道」を前面に打ち出したお砂糖の新商品販売を近く予定しており、新商品の販売を機に様々な情報発信にも取り組んで参ります。

 てん菜は、これまで主として甘味資源や飼料用途として利用されてきました。今後は、てん菜のCO2高吸収作物という側面に注目し、てん菜が吸収したCO2を新たな物質生産に利用することで、てん菜の耕作面積の維持向上と地球温暖化対策に貢献することを目指します。具体的には、機能性バイオ共生コンソーシアムに参画し、てん菜糖蜜を活用した微細藻類によるバイオ燃料(SAF)の研究に着手しております。また、てん菜によるCO2の長期固定化対策として、てん菜の食物繊維を活用したバイオプラスチックの開発にも参画して参ります。このように、てん菜には未知の可能性が秘められております。私たちはてん菜を使い尽くすまで、可能性の探求を続けて参ります。

 大正8年の会社創立以来100年以上に渡り、私たちはてん菜糖業の発展に努めて参りました。次の100年に向けては、持続可能な北海道農業の一助となるべく、昨年策定した「日甜アグリーン戦略」の旗印の下、てん菜の新たな可能性に注目して「てん菜産業」として飛躍すべく、日甜グループ一丸となって邁進して参ります。

 皆さまには、引き続き一層のご高配を賜りますよう、心からお願い申しあげます。

  2023年2月

日本甜菜製糖株式会社   
取締役社長  石栗 秀