[Nitten Betaine]
ベタインとは
ベタインは、ビート(砂糖大根)から分離精製された、化学的に純粋な天然の物質です。「既存添加物名簿収載品目リスト」(旧厚生省生活衛生局長通知)のなかでは、調味料に分類されています。ベタインは、動植物界に広く存在しています。動物では、エビ、カニ、タコ、イカ、貝類などの水産物に多く含まれ、“甘味”と“うま味”に深くかかわっています。また、植物では麦芽、キノコ類、果実、特にヒユ科に多いことが知られています。ビートもヒユ科の仲間です。 ベタインは塩基性含窒素化合物で、ビート糖の副産物である糖蜜からクロマトグラフ法によって取り出され、精製結晶化して得られます。
化学構造は右図の通りです。アミノ酸の一種であるグリシンと構造が似ているので、トリメチルグリシンあるいはグリシンベタインと呼ばれています。
日本甜菜製糖(株)では、ベタインを高純度の結晶にして皆様にお届けいたします。
ベタインの特性および用途
ベタインは水産物の“甘味”と“うま味”にかかわりがあり、核酸系うま味成分と働きあって、「もっとおいしい味にする効果」があります。また、塩分や酸味の強い商品に対して、「味をまろやかにする効果」もあります。
ベタインには“甘味”と“うま味”のほかに、水産物特有の味わいを持たせ、水産加工品の「風味を一層よくする効果」があります。
ベタインの濃度が増えるとともに水分活性が低下しますので、ほかの水分活性低下剤と併用するとカビや腐敗を防ぐ効果があります。
ベタインは、グルタミン酸発酵などの発酵促進剤として、また養魚の食餌効果を高めることから養魚用食欲増進剤として用いられています。そのほか、高い吸湿性と保水性を利用して化粧品の素材としても用いられています。
ベタイン塩酸塩は、古くから胃液の酸度を調節する医薬品として用いられています。そのほかベタインには、幼動物の成長促進、脂肪代謝、肝機能の正常化に良い影響を与えますので、コリンと同様に飼料添加物としても用いられています。
ベタインは、ビートから抽出して精製されたものです。人類は、魚介類、ホウレンソウやキノコ類などを通じて、昔からベタインを摂取してきました。なお、変異原生試験および急性毒性試験でも、安全性については問題ないことが確認されています。
ベタインの物性
ベタインは、白色の結晶で溶解度が大きく、水に対して160g、エチルアルコールに対して8.7g溶解します(20℃、溶媒当たり)
ベタインの溶解度曲線
ベタインには、少し苦味のある甘味があります。甘味度は、ベタインの10%溶液で砂糖のほぼ半分に相当します。
ベタインとショ糖の甘さの比較 (太田ら)
ベタインの高濃度域では水分活性値が大きく低下します。
ベタイン水溶性の水分活性
ベタインの融解点は293℃、分解点は310℃ですから、熱に対して非常に安定的といえます。また、酸やアルカリに対しても極めて安定的です。さらに、糖とはメイラード反応を起こさず褐変しません。これらベタインの特性から、調理や食品加工の条件下で全く安定しています。
ベタインのpHと温度の影響
・ベタイン濃度 10%(W/V)
・15分保持後 急冷
ベタインは、吸湿性と潮解性がありますので、開封後の保管に注意が必要です。
ベタインの製品規格
項 目 | 規 格 値 |
---|---|
外観 | 白色結晶 |
純度 | 98%以上 |
水分 | 2% 以下 |
pH | 5〜7(5%溶液) |
色値 | 30以下 (ICUMSA Color Unlt 420nm) |
荷姿 | 段ボール入りNet 10Kg(内装ポリ袋) |
業務用途のみ販売申し上げております。